現在の本堂は万延元年(1860)第14世住職宏道の時代に建てられたものです。当時は日本が開国されて間もない幕末の頃で、国が大きく変わろうとする時代でありました。

 本堂が建てられた3年後(1863)、外国艦隊からの防備のため、高杉晋作らによって武士や農民からなる混成部隊「奇兵隊」が組織されました。

 当時まだ新しかった本堂は奇兵隊にとってちょうど良い休憩所となったのでしょう。武器を手にした血気盛んな若者たちは、本堂の柱を敵と見立て、戦いの練習をしたようであります。

 現在でも本堂の柱に残る無数の傷跡は、その時につけられた銃剣のあとと伝えられております。